外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 ) 〜鳥類と日本人 その1〜

ハリスは日記の中で「日本では野生の動物が人馴れしている」とも言っています。ハリス以外にも様々な外国人が驚きとともに言及しており、保護されていた大型野鳥以外の鳥にもそれは言えるようです。

 

『グレタ号日本通称記』を記した安政五年(1858年)に日本を訪れたドイツ人F.A.リュードルフは、「鳥という鳥が、みなよく人になれているのにはまったく驚く。たとえば、鴨が、われわれのボートのすぐそばまで来たり、雀が人家に入る。こうしたことは、狩猟の禁止に原因があるらしい。鳥獣を撃つことは、厳重に禁ぜられている 」
「野性の烏(カラス)でも狙われることはないので、まったく物怖じしていない」

 

明治初期に日本を訪れ、大森貝塚を発見したことでも有名な動物学者、エドワード・S・モースは著書の『日本その日その日(Japan Day by Day)』の中で、「鳥、殊に烏が如何に馴れているかを示す事実」として、「車夫が人力車の後に灯をぶら下げておいた所が、人力車から三フィート(約1メートル)とは離れていない所で私が外套を着ているのに、烏が一羽下りて来て、車輪にとまり、紙の提灯に穴をあけてその内にある植物性の蝋燭を食ってしまった」、「烏は不親切に扱われることがないので、非常に馴れている。まったく、野獣もすべて馴れているし、家畜は我おう国のものよりもはるかに人に馴れている」さらに、「舷によって魚を洗っている女をカラスがそばにとまって見ていた」ことなども挙げています。

 

余談ですが、日本だけでなく、人間の介入を受けていない土地では鳥たちは無防備なようです。日本へ向かう航海の途上、大西洋で寄港したアセンション島で、海つばめの一種、アジサジが卵を産みに集まってきていたときの様子を、ヒュースケンはこのように書き残しています。
「鳥は踏まれそうになるまで卵の上に坐っており(中略)この鳥は手で簡単に捕獲できる。(中略)彼女たちは粘り強く自分の居場所を離れまいとした。私たちの一挙手一投足を見守っているところは、いかにも母鳥らしい用心深さであった。その鳥たちの信頼につけこんで、石を投げつける人がいた。安心しきって、愉しげに人のまわりを飛んでいる多くの小鳥に、石を投げつけるというのは、何とあさましい勇気、(中略)人間は他のすべての猛獣よりも、もっと残忍な動物ではないだろうか。」

 

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