アニマルウェルフェア

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生)~使役動物を食する~

ヨーロッパやモンゴルなど、使役動物である馬を食用にする地域は世界にはよく見られますが、食用に家畜を飼育するという習慣が基本的になかった江戸時代の日本には、使役動物である牛や馬も食べるという感覚もなかったと思われます。 ハリスは1857年8月、あ…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生)~街道の牛や馬たち~

幕末から明治初期に日本に滞在した外国人たちの記録の中でもよく見られるのが、牛馬に蹄鉄を打たずに藁沓を履かせているという記述です。 1863年に通商条約締結のため来日したスイスのエメ・アンベール(元時計業組合会長)は『幕末日本図絵』(Le Japon Illu…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)~牛~

家畜を殺すことに馴れていないという点は、鶏だけではなく、牛に対してにも同様の反応が見られます。 特に運搬や農耕に不可欠な牛や馬を食用にするという感覚はなかったようです。八丈島では牛を殺すという行為はその地域にも不幸を呼ぶと考えられていたよう…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)~たまご~

鶏についての記事で卵にも触れましたが、今回はその「卵」について、もう少し深くみていこうと思います。 以前の記事でも書いたとおり、鶏は古来から霊鳥とされていました。『古事記』では天照大神が天岩戸に隠れ世界が闇に覆われてしまったとき、「常世の長…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)はじめに

日本のアニマルウェルフェアを考えるとき、日本の牛や豚や鶏たちにとって大きな転機となった時期が、近代に二つあります。ひとつは西洋の「畜産」が普及し始めた明治維新前後、もう一つは現代の畜産形態である『工場畜産(集約的畜産)』が普及し始めた戦後…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 )〜鳥類と日本人 その3〜

ハリスは日記の中で、「帰途、わたしはこれまで見たうちで最も大きい鸛(コウノトリ)の群れを見た。日本では、あらゆる種類の野生の動物(用心深い鴉まで)が、驚くほど人馴れしている。日本の少年たちが、コーカサス人種のような破壊的風習に耽ることのな…

トルコの犬事情

前回、江戸時代の犬の記事で触れた現代トルコの犬事情を少し紹介させていただきたいと思います。 路上の犬猫が堂々と人間と共存していると言われているトルコですが、現地ではどのよになっているのでしょうか? トルコを頻繁に行き来している友人の報告によ…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 )〜犬〜

鶏のほかにも、ハリスはさまざまな贈り物をもらっていますが、その中に、犬があります。 1857年11月15日の日記に、「日本人が非常に立派な二匹の子犬を持ってきてくれた。丸い、弾丸のような形の頭と、短い鼻と、「キング・チャールズ・スパニエルズ」式の大…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生) 〜鳥類と日本人 その2 「鶏」〜

ハリスは日本滞在中、幕府や現地の奉行からさまざまな贈り物をもらっています。その中でよく見るのが鶏です。 日本に到着した際、上陸先の下田奉行(井上信濃守清直)から鶏と鶏卵をもらったという記録があります。このころの鶏は、日本の庶民の間では主に、…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 ) 〜鳥類と日本人 その1〜

ハリスは日記の中で「日本では野生の動物が人馴れしている」とも言っています。ハリス以外にも様々な外国人が驚きとともに言及しており、保護されていた大型野鳥以外の鳥にもそれは言えるようです。 『グレタ号日本通称記』を記した安政五年(1858年)に日本を…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生) 〜ハリスと牛乳〜

ハリスと牛乳 19世紀中ごろ、産業革命によって大航海時代から続く植民地獲得競争が加速すると、アメリカ、イギリス、フランスなどの諸国は、貿易ルート獲得のため、アジアに進出してきました。イギリスがアヘン戦争によって中国から香港を割譲したり、インド…

サテライツ農場 鹿児島県曽於市

サテライツという農場を訪ねてきました。 ここは鶏たちの終生飼育を行う数少ない採卵養鶏場です。 鹿児島市から日豊本線で桜島をぐるっとまわって山深い霧島連峰を抜けた、鹿児島県曽於市にサテライツはあります。 敷地に入ると、駐車している車の横でヤギが…