外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生)~使役動物を食する~

ヨーロッパやモンゴルなど、使役動物である馬を食用にする地域は世界にはよく見られますが、食用に家畜を飼育するという習慣が基本的になかった江戸時代の日本には、使役動物である牛や馬も食べるという感覚もなかったと思われます。 ハリスは1857年8月、あ…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生)~街道の牛や馬たち~

幕末から明治初期に日本に滞在した外国人たちの記録の中でもよく見られるのが、牛馬に蹄鉄を打たずに藁沓を履かせているという記述です。 1863年に通商条約締結のため来日したスイスのエメ・アンベール(元時計業組合会長)は『幕末日本図絵』(Le Japon Illu…

ハリスが見た日本の自然~下田の景色~

ハリスが日本に到着した当時の年齢は52歳。ヨーロッパ人にとっては未開の地で、公務によるストレスから身体を壊しがちだったハリスは健康のためによく歩いており、そのたびに滞在先の下田の自然を賞賛しています。 「1856年9月16日、火曜日 美しく…

紫陽花と竹林

外国人の日記を読んでいると、日本独自の植生の豊富さや美しさが驚きと共に書き残されていますが、それは私が長く日本をはなれて実感したことでもありました。 その中であらためて好きになった草木に、紫陽花と竹(竹林)があります。アメリカでは竹や笹は中…

ハリスが見た日本の自然~下田の植物~

外国人の記録には異国、日本で目にした文化や風俗、人々の様子なども描きとめられており、その中には気候やその土地の植物の描写もふくまれます。彼らの母国とは異なった日本独自の植生が驚きとともに描かれていて面白いです。 ハリスは公務の合間に散歩によ…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)~牛~

家畜を殺すことに馴れていないという点は、鶏だけではなく、牛に対してにも同様の反応が見られます。 特に運搬や農耕に不可欠な牛や馬を食用にするという感覚はなかったようです。八丈島では牛を殺すという行為はその地域にも不幸を呼ぶと考えられていたよう…

収奪された大地-ラテンアメリカ500年(Las venas abiertas de América Latina 『ラテンアメリカの切り開かれた血脈』)エドゥアルド・ガレアーノ

いま森林破壊が深刻なアマゾンがあるラテンアメリカについて書かれた本です。有名な本なのでご存じの方も多いと思います。ベネズエラのチャベス元大統領が、オバマ元大統領に勧めたことで有名になりました。 大航海時代から現代までラテンアメリカという大陸…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)~たまご~

鶏についての記事で卵にも触れましたが、今回はその「卵」について、もう少し深くみていこうと思います。 以前の記事でも書いたとおり、鶏は古来から霊鳥とされていました。『古事記』では天照大神が天岩戸に隠れ世界が闇に覆われてしまったとき、「常世の長…

お寺の鐘と時間の感覚のはなし

近所のお寺の鐘が鳴りました。時計を見ると午後5時ちょうどです。 このお寺はいつも朝の6時と夕方5時を知らせてくれます。 お寺は道を隔てた真隣にあるので結構音が大きく、朝はマンションの上階の住人が慌てて起きる音が聞こえます。 1分ほど遅れたりす…

外国人が見た日本(近代以前の日本に見る動物との共生)はじめに

日本のアニマルウェルフェアを考えるとき、日本の牛や豚や鶏たちにとって大きな転機となった時期が、近代に二つあります。ひとつは西洋の「畜産」が普及し始めた明治維新前後、もう一つは現代の畜産形態である『工場畜産(集約的畜産)』が普及し始めた戦後…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 )〜鳥類と日本人 その3〜

ハリスは日記の中で、「帰途、わたしはこれまで見たうちで最も大きい鸛(コウノトリ)の群れを見た。日本では、あらゆる種類の野生の動物(用心深い鴉まで)が、驚くほど人馴れしている。日本の少年たちが、コーカサス人種のような破壊的風習に耽ることのな…

飛行機恐怖症の対処法

前回、飛行機のお話をしましたが、わたしなりの対処法について書いていこうと思います。 「飛行機が怖くて」という話をすると「お酒飲んで寝ときなよ」とよく言われるのですが、飛行機に乗って空を飛んでいることの恐怖と緊張でお酒を飲んでも眠れません。 …

トルコの犬事情

前回、江戸時代の犬の記事で触れた現代トルコの犬事情を少し紹介させていただきたいと思います。 路上の犬猫が堂々と人間と共存していると言われているトルコですが、現地ではどのよになっているのでしょうか? トルコを頻繁に行き来している友人の報告によ…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 )〜犬〜

鶏のほかにも、ハリスはさまざまな贈り物をもらっていますが、その中に、犬があります。 1857年11月15日の日記に、「日本人が非常に立派な二匹の子犬を持ってきてくれた。丸い、弾丸のような形の頭と、短い鼻と、「キング・チャールズ・スパニエルズ」式の大…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生) 〜鳥類と日本人 その2 「鶏」〜

ハリスは日本滞在中、幕府や現地の奉行からさまざまな贈り物をもらっています。その中でよく見るのが鶏です。 日本に到着した際、上陸先の下田奉行(井上信濃守清直)から鶏と鶏卵をもらったという記録があります。このころの鶏は、日本の庶民の間では主に、…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生 ) 〜鳥類と日本人 その1〜

ハリスは日記の中で「日本では野生の動物が人馴れしている」とも言っています。ハリス以外にも様々な外国人が驚きとともに言及しており、保護されていた大型野鳥以外の鳥にもそれは言えるようです。 『グレタ号日本通称記』を記した安政五年(1858年)に日本を…

外国人が見た日本(近代以前の日本にみる動物との共生) 〜ハリスと牛乳〜

ハリスと牛乳 19世紀中ごろ、産業革命によって大航海時代から続く植民地獲得競争が加速すると、アメリカ、イギリス、フランスなどの諸国は、貿易ルート獲得のため、アジアに進出してきました。イギリスがアヘン戦争によって中国から香港を割譲したり、インド…

サテライツ農場 鹿児島県曽於市

サテライツという農場を訪ねてきました。 ここは鶏たちの終生飼育を行う数少ない採卵養鶏場です。 鹿児島市から日豊本線で桜島をぐるっとまわって山深い霧島連峰を抜けた、鹿児島県曽於市にサテライツはあります。 敷地に入ると、駐車している車の横でヤギが…

福島20キロ圏内の動物と人々(英語)Farm animals report in Fukushima 2017 summer

Tani's project for farm animals in nuclear exclusion zone. A fog descending from the mountain gives moisture to trees and grass. Cows are munching grass and looking down on me. This peaceful idyllic scenery makes me forget that this area i…

ウォールストリートを占拠せよ・ニューヨーク、ズコッティ公園取材記事 (Article about OWS in 2012 )

この記事は2012年 インパクション183号に掲載されています。 ************************ 11月半ば、オキュパイ・ウォールストリート(以下OWS)本拠地であるズコッティ公園で大規模な撤去が行われたものの、その後も全米各地では…

福島の震災で取り残された動物たちの記録 (Report in Fukushima 2011 summer )

Report was published by Actio below この記事はActioに掲載させていただきました↓↓ 福島原発20km圏内 時が停止した故郷と取り残された動物たち 阪本喜子 | 市民メディアActio